令和5年度電験3種上期試験の結果発表から数ヶ月たちました。
本年度の電験3種試験は、CBT方式の導入や過去問題の焼き増しなど、受験された皆様にとっては慣れないこと、戸惑うことが多かったのではないでしょうか。私たちも、様々な角度から試験制度の変更を注視しておりました。
電気書院では令和5年度下期試験を受験される皆様にとって、少しでも役立つ情報を発信していきたい!と考えています。
そこで、今回から5回の予定で電験3種の過去問題を深く、色々な角度から掘り下げていきたいと思います。
第1回は電験3種試験問題の歴史を深掘りしてみます。
調べてみると、令和4年度から過去問題がそのまま出題される傾向がみられます。
電験の試験制度の変遷をたどってみましょう。
(1)第 Ⅰ 期 五肢択一式の採用(1982〜1994年):表1−1
電験は明治44(1911)年から始まった、110年以上続いている試験で、当初は記述方式の計算問題、論説問題、空白問題が出題されていましたが、受験者の急増に対応して、採点・集計事務の迅速化などを図るため 、昭和57(1982)年から五肢択一式の出題に変わり、解答はマークシート方式になりました。
このときの試験科日は理論、発変電、送配電、機械、応用、法規の6科目で、各科目の出題数はやさしいA問題が20問とむずかしいB問題が4問の合計24問でした。
配点はA問題が1問あたり3点、B問題が1問あたり10点の合計100点、試験時間は1科目2時間で、1日3科目ずつ2日間に亘って試験が行われました。
この試験方式は平成6(1994)年までの13年間続き、この間に1872問の問題が出題されて五肢択一式の問題の基礎が形成され、次の第 Ⅱ 期に多くの類似問題が出題されることになります。
(2) 第 Ⅱ 期 科目合格留保制度の採用(1995年~ ):表1−2
平成7(1995)年から現行の科目合格留保制度が開始され、科目数が6科目から理論、電力、機械、法規の4科目になりました。
解答する問題数は各科目ともA問題が10問、B問題が2問で、配点はA問題が1問あたり7点、B問題が1問あたり15点の合計100点、試験時間は1科目90分で、試験日数は1日に短縮されました。
平成15(2003)年に問題数が変更され、理論、電力、機械の解答する問題数はA問題が14問、B問題が3問で、配点はA問題が1問あたり5点、B問題が1問あたり10点の合計100点に、法規はA問題が10問、B問題が3問で、配点はA問題が1問あたり6点、B問題が1問あたり13点の問題が2問と14点の問題が1問の合計100点になりました。また、試験時間は法規のみが65分に短縮されました。
なお、平成7(1995)年~令和4(2022)年の28年間に出題された問題数は1794問になります。
<今回はここまでです。次回から令和4、5年の試験で出題された過去問と同一の問題について、それらの問題が出題された年度について調査する予定です。>