前回は「送配電線路」の計算問題の重要性及び出題頻度の高いテーマ、電験3種との違いについて詳しく説明いたしました。いかがでしたか?
今回が『電力・管理』計算問題の過去問題調査の最後です。まずは、『電力系統の運用』の出題内容を第2-4表に示します。
電力系統の運用は最も出題頻度が少ない分野で、電力系統の周波数変動が主なテーマになっています。
発電機の周波数特性定数と負荷の周波数特性定数あるいは系統周波数特性定数を用いて、発電機の脱落や負荷変動が生じた場合の系統周波数の変化値あるいは連系線の潮流変化量を計算できるようにしておくと良いでしょう。
電験3種では学習しないテーマですが、計算の難度は電験3種でも対応できるレベルなので是非マスターしておいてください。
最後に、『自家用電気設備・その他』の出題内容を第2-5表に示します。
この範囲から出題された『自家用電気設備』の主なテーマは次のとおりです。
① 負荷の負荷率、需要率、不等率
② 負荷から発生する高調波電流の配電線への流出
③ 自家用変電所の保護協調
また、『その他』として特別高圧変圧器の絶縁耐力試験が出題されています。
この分野の計算は電験3種と同じような難度の問題も多いので、比較的に学習しやすい分野と思います。
1)『電力・管理』計算問題の直近10年間の出題状況は?
これまで、現在の試験制度になった平成7(1995)年以降の29年間の計算問題の出題状況について述べてきましたが、直近10年間(平成26(2014)~令和5(2023)年)に出題された計算問題の総数は33問で、その内訳は次のようになっています。
したがって、平均的には、『電力・管理』で出題される6問のうち計算問題は3問で、そのうちの2問は送配電線路の問題となります。また、残りの1問は発電、変電および自家用電気設備の分野から出題されます。
2)『電力・管理』計算問題の学習方法は?
過去問題の学習が中心になると思いますが、出題頻度の高いものから手を付けるのが合理的と思います。
また、式の立て方や考え方の順序を自分で理解して解くことが大切です。なお、繰り返し学習し、誤った箇所は「なぜ誤ったか」を追求して同じミスを起こさないことなど地道な学習が重要と思います。
これで『電力・管理』の計算問題に関する調査は終了です。次回からは論説問題の調査に移ります。ご期待ください!