今回は『送配電線路』の後半で、平成24~令和5(2012~2023)年分を第2-3-2表に示します。なお、平成7年~平成23年の計算問題については、第5回の第2-3-1表に示してありますので、併せてご覧ください。
では、表の内容を詳しくみていきましょう。
第3回で述べたように、『電力・管理』の試験問題の出題数は6問で、平均的には、そのうち3問が計算問題です。また、最近は『送配電線路』の計算問題の出題数が増える傾向にあり、直近の10年間では平均して2問が出題されています。
平成7年度以降に出題された問題で出題頻度の多いテーマは次の通りです。各テーマについて独特の解き方があり、また、新しく覚えることも多くなると思いますので、十分に時間を取って学習することをお奨めします。
① 送電線による電力の伝送特性に関する問題
・特に出題頻度の多いテーマです。
送電端電圧、受電端電圧、相差角および線路インピーダンを用いて送電電力を導く内容の代表的
な問題を初め、いろいろな応用問題が出題されています。
② 配電線の末端に分散形電源を設置したときの逆潮流による電圧変動関連の問題
③ 送電線の短絡故障計算
④ 送電線からの電磁誘導障害に関する問題
⑤ 送配電線の1線地絡故障計算
⑥ 電力ケーブルの充電容量・充電電流などの問題
⑦ 分布負荷の配電線の電圧降下・送電損失に関する問題
⑧ 電線のたるみの公式に関する問題
⑨ 電力系統の過渡安定性に関する問題
1)数学のレベル
全般的に電験3種と比較して複素数計算のレベルがかなり高くなります。また、極座標形表示や指数関数表示の複素数が頻繁に出てきます。
分布負荷の配電線の電圧降下・送電損失に関する問題では積分計算が必要になります。
2)新しく学習が必要な項目
送電電力や電圧変動などについて単位法による計算も、できるようにしておくことが必要です。
送電特性については電力円線図について学習しておくことが必要です。
電磁誘導障害や1線地絡故障の計算では、対称座標法の知識が必要な問題が出題されます。対称座標法の用語の定義を覚えるとともに、対称座標法を使った1線地絡故障の解き方をマスターしておくと良いでしょう。
最近出題されはじめた電力系統の過渡安定性については、電力-相差角(P-δ)曲線について学習しておいてください。
次回(第7回)は、『電力・管理』の計算問題調査の最終で、『電力系統の運用』および『自家用電気設備・その他』についてフカボリ!しますよ!ご期待ください!